小説、漫画、実用書、参考書、画集・・・
世界中に「本」と名のつくものは多々あれど、その奇妙さ故に有名になった本があります。
その名はヴォイニッチ写本(ヴォイニッチ手稿)。
世界で最も奇妙であり、「不可解」な本と呼ばれています。
いったい何が不可解なのか?
普通、本と言えば読む人に知識を与えるものですが、この本は何も与えません。
すなわち、そこに何が書いてあるか今だに解読されていない本なのです。
ヴォイニッチ写本の謎
この本は1912年、ウィルフリド・ヴォイニッチによって、イタリアにあるヴィラ・モンドラゴーネ僧院で発見されました。ちなみに写本と名はついていますが、別に原書が存在するわけではありません。
作者はロジャー・ベーコンと伝わっています。彼は近代自然科学の先駆者と呼ばれており、修道士でありながら様々な学問に精通したがゆえに教会の反発を受け10年以上幽閉されていた経験もあります。
そんなロジャー・ベーコンだからこそ、自らの知識をそのまま記すことは危険であり、誰にも分らぬように暗号化して後世の世に残した。。。それが当のヴォイニッチ写本と言われているのです。
本の中身はいまだ解読されていない言語と挿絵によって構成されており、200ページ以上もあります。若干紛失しているページもあるようですが。挿絵には植物が多く、薬草学の本ではないかとの推測もされています。しかし、ほとんどの挿絵の植物は実在の植物と照合できておりません。植物以外にも、天体や女性の絵とおぼしきものも存在しますが、それらが何を示しているのかはまったくの不明です。
上記にいくつかページを掲載してみました。
文字についても様々な暗号解読法が試されていますが、現時点で解読に成功した人物は現れていません。確か以前は解読に懸賞金がかかっていたはずですが、いまもあるんでしょうか。
ヴォイニッチ写本の偽造説
謎に満ちた文字、、、意味の掴めない挿絵、、、
そんな疑問と不安が交錯するヴォイニッチ写本ですが、実は内容はまったくのでたらめで、そもそも意味のない本であるという説があります。
僕も数十枚ほどページを見たことがあるのですが、植物の挿絵がまったく覚えのないものばかりなのです。これだけの絵があれば一つくらいは既知のものが入ってないと逆に不自然と言えるでしょう。
解読不能な文字についても、やたら同じフレーズの繰り返しが多く、あらかじめ決めたパターンに合わせて文字を配列しただけではないかと言われています。
偽造の犯人と疑われているのは、当然発見者であるヴォイニッチ自身。本を高値で売りさばくため、ロジャー・ベーコンの名を使ったのでは、という考えですね。
そして、それより怪しいと考えられるのが16世紀の錬金術師エドワード・ケリーです。
実はヴォイニッチ写本は一時期、ボヘミアの皇帝・ルドルフ2世の手にあったと伝えられています。そのルドルフ2世が重用し信頼を置いていたのがエドワード・ケリーなのです。
ケリーにはジョン・ディーという同じく錬金術師のライバルがいました。そのディーを罠にはめるためにヴォイニッチ写本を偽造し、ディーの手を通じてルドルフ2世につかませたのでは、という推測です。
偽造説の中では、本が作成されたと思われる年代からケリー説のほうが有力なようですね。
なお、ケリーは錬金術(金の精錬)に失敗し続け信頼を失墜し、犯罪者として収監されたまま亡くなったとされています。もしヴォイニッチ写本が彼の手による偽造なのだとしたら、その報いを受けたのでしょうか。
現在ヴォイニッチ写本は、アメリカのエール大学にて厳重に保管されています。
果たしてその謎が解かれる日は来るのか?
ひょっとすると、これが解読されるとき、人類にまさしく新たなページが開かれるのかもしれません。。