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2006年10月31日

EZ GREE開始で携帯SNSは三つ巴の戦いに?

KDDIがGREEに出資して携帯SNSサービスの開発を進めていることはすでに周知のニュースでしたが、ついにその成果が出てきました。

KDDIとグリー、共同でモバイルSNS「EZ GREE」を開始(CNet)
モバイルSNS「EZ GREE」の提供について(KDDIニュースリリース)
モバイルSNS「EZ GREE」の提供について(GREE)
ITmedia News:「PCの成功モデルをケータイで」――au向けSNS「EZ GREE」の狙い(ITmedia)

サービスの開始は11月16日からだそうです。

ドコモと楽天の携帯オークションが最初の発表以来ほとんど音沙汰なしであることと比べると、KDDIとGREEの動きはだいぶスピーディーでしたね。

携帯SNSではmixiとモバゲータウンが規模においてはだいぶ先行していますが、auの純正サービスとしてEZ GREEが提供されることになり、先の展開が非常に面白くなってきました。
GREEの既存ユーザー数はmixi、モバゲータウンと比べるとかなり見劣りしますが、auの集客力とブランド力を手に入れたことで、一気に浮上することができる位置に付けました。

この3サイトの強みと弱みを簡単にまとめるとこんな感じでしょうか。

■mixiの強みと弱み
○強み:
 1.既存会員数においては日本で最大
 2.基本的にPCのサービスであるが、携帯からの利用率も高い
 3.18歳以上のユーザーにリーチできている

×弱み:
 1.携帯からのユーザー登録ができない、有料でないと利用できない機能が多いなど、機能面での制限が多い
 2.基本的に、携帯版はPC版の補完用サイトの位置づけ
 3.ユーザー数が増えすぎ、サイトの信頼性が損なわれつつある


■モバゲータウンの強みと弱み
○強み:
 1.入会・継続利用のモチベーションに直結するゲームコンテンツが充実
 2.携帯サイトの運営ノウハウが蓄積されており、機能改善の速度も速い
 3.豊富な資金力・収益性の高さ

×弱み:
 1.若者向けにデザインされたサイトで、20代以上の年齢層の人が参加しにくい雰囲気がある
 2.「モバゴールド」というポイント制度を導入しており、ユーザーにポイント獲得行動を取らせる必要がある。その結果、ユーザーを疲弊させ、利用期間が短くなる可能性がある


■EZ GREEの強みと弱み
○強み:
 1.auの純正サービスであることによる強力な集客力・ブランド力
 2.auの既存サービスと機能面で連携することができる
 3.auの顧客データを利用できるため、安心感のあるサイト作りができる
 4.auの課金システムを利用できる

×弱み:
 1.後発でユーザー数が少ない
 2.au以外のキャリアでは集客力が格段に低くなる
 3.auとの提携関係ありきのビジネスモデル

EZ GREEには、最初からゲームがあったり、Q&Aコミュニティがあったりと、機能的にはかなりモバゲータウンとかぶるところがあります。相当意識してる?

EZ GREEは、auの集客力とサービス上の連携に強みがあるのはもちろんなのですが、最も売りになるのは「サイトの信頼性」になると思います。

というのは、auの純正サービスであるEZ GREEは、auの顧客データがバックにあるんですね。(実際にサービスに使うかどうかはともかく、背後には確実に存在しています)
この顧客データには、ユーザーの氏名、住所、電話番号などの本人確認ができる情報がもちろん含まれています。
そういう背景があるため、これが抑止力となって悪意を持ったユーザーも悪いことが非常にしづらく、荒し等の行為も抑えられます。
また、携帯電話を2台も3台も持っている人はほとんどいないので、複数アカウントをもたれる可能性は非常に低く、この面でもサイトの信頼性が確保されます。
総じて、かなり安心して使える環境になるんではないかと思います。

もっとも、EZ GREEには従来のGREEユーザーも混じってくるので、その混じり具合によっては信頼性が必ずしも高くならない可能性もあります。
このあたりのユーザーの切り分けの仕方と運営方法には注目したいですね。

「信頼性の高いSNS」という評価が定着すれば、EZ GREEはかなり伸びるような気がします。


携帯SNSの市場は、基本的な構造として、若者⇒モバゲータウン、大人⇒mixiという形になっていますが、2サービスのユーザー数を足しても800万人弱。
第3世代携帯電話の契約数はすでに5,000万件を超えてさらに増え続けていますので、まだまだ開拓できる市場は大きいです。EZ GREEはもちろん、その他のSNSにも十分チャンスはありそうです。

いってるそばから、インデックスHD、ゆびとまを子会社化--SNS事業を拡大(CNet)なんてニュースも飛び込んできてますし、携帯SNSの市場の競争は11月に入って一気に激化しそうです。

私も他の会社のサービスをあれこれ論じてる場合じゃないのかも。
早くなんかやらないとね。

(余談)
ソフトバンク=Yahoo!モバイルもさらに携帯SNS(Yahoo!Daysのモバイル版)を強化してくると思いますが、ソフトバンクは3キャリアの中では最も第3世代携帯の普及率が低く、ユーザーの携帯コンテンツの利用頻度も低いので、よほどいいサイトに仕上げないとユーザーが動いてくれないかもしれません。
他キャリアにおける携帯ポータルとしてのYahoo!モバイルもそれほど伸びていないので、連携を強化したらすぐ上位陣に食い込める規模になるかといえば、決してそうは言えないと思います。PC版のYahoo!Daysもあんまり使われてないみたいですし。

2006年11月 9日

携帯公式コンテンツ事業者の業績が回復してこない

先日、あるモバイルサイトの運営者と話してて、「公式コンテンツ事業者はどこも苦戦してるねー」なんて話題になりました。
去年あたりからなんとはなしにそういう印象はあったのですが、実際のところどうなっているのか気になったので、主要な携帯公式コンテンツ事業者の業績を調べてみました。

調査したのは携帯の公式コンテンツ運営を主要な事業としていて、上場してる以下の9社です。他にも条件に合致する会社があるかもしれないですが、すぐに見つからなかったのでとりあえずこの9社で比較してます。

(株)エムティーアイ (1999年10月1日上場)
(株)サイバードホールディングス(2000年12月21日)
日本エンタープライズ(株) (2001年2月16日上場)
(株)インデックス・ホールディングス(2001年3月29日上場)
ジグノシステムジャパン(株) (2002年3月13日上場)
(株) フォーサイド・ドット・コム (2002年10月10日上場)
(株)ドワンゴ (2003年7月17日上場)
(株)サミーネットワークス (2004年9月1日上場)
(株)ケイブ (2004年12月24日上場)
(Yahoo!ファイナンスの株価情報にリンクしてます)

調査・比較の内容は、各社の直近3期分の売上、営業利益と四季報の今期着地予想です。
各社3月決算だったり、12月決算だったりと、「前期」といっても1年近く決算にずれがある場合もありますが、比較しやすくするためにこのようにしています。

ほんとは、ノイズを少なくするために公式コンテンツ事業だけに絞って収益性の比較をしなければならないのですが、各社決算の発表内容がバラバラだったり、十分に調査の時間を確保できなかったりするので、とりあえず会社全体として比較しています。
まずは全体的な傾向を掴むのが重要、ということで。

で、こちらが比較の表です。

gyouseki_hikaku.GIF

特に注目していただきたいのは売上高営業利益率です。

9社平均で見たとき、2期前に11.9%あった売上高営業利益率が前期は6.4%と半分近くに低下しています。四季報による今期の着地予想では売上高営業利益率は横ばいですが、こういう予想はたいがい下振れしますので、今期はさらに収益性が悪化するといっていいと思います。
変化の激しい業界ではありますが、1年で収益性が半分に悪化するなんて普通はないです。相当に市場環境が厳しくなっていることがわかります。

個別に見ていくと、特に収益性の悪化がわかりやすいのはインデックスでしょうか。
コンテンツ部門の売上は14,539百万円、39,748百万円、63,313百万円と年々大きく伸びているのですが、一方で部門の営業利益率は18.0%、7.1%、1.9%とものの見事に低下しています。

着メロ・着うたサイト「いろメロミックス」を中心に一気に業績を拡大したドワンゴも、今期の中間決算ではついに赤字に転落しています。
サイバードも前期は赤字で、今期の第1四半期も赤字と苦戦してます。
フォーサイドはもっとひどく、前期は100億円近い赤字で、今期中間ではなんと200億円もの赤字を出しています。

一方で、サミーネットワークスと日本エンタープライズは好調を維持しています。

総じて、着メロサイトを中心に事業拡大してきた会社が苦戦しているという印象がありますね。


では、なぜここまで市場環境が悪化し、公式コンテンツ事業者の業績が低迷しているのか。

その理由については次回に。

(第2回の記事をアップしました)
公式コンテンツ事業者の業績低迷の理由を探る

2006年11月10日

公式コンテンツ事業者の業績低迷の理由を探る1

前回「携帯公式コンテンツ事業者の業績が回復してこない」からの続きです。

「なぜここまで携帯公式コンテンツの市場環境が悪化し、事業者の業績が低迷しているのか。」
その理由を探るのが今回のテーマです。

まず最初に、携帯公式コンテンツ事業者の基本的なビジネスモデルと集客方法についてご説明したと思います。

もはやいうまでもないと思いますが、公式コンテンツ事業者は、サイトがiモードやEZ Webなどのキャリアの公式メニューとして登録され、ユーザーにサイトの利用料を課金することによって収益を得ます。

利用料は1ヶ月300円として、10万人ユーザーを集めることができれば、毎月安定して3,000万円の売上をあげることができます。この利用料は携帯キャリアを通じて通話料と一緒に課金されますから、まずとりっぱぐれがなく、利用者さえある程度集めることができれば、運営者にとっては非常においしいビジネスとなります。

利用者集めにしても、サイトがキャリアの公式コンテンツに登録されれば、iメニューやEZポータルなどの集客力が極めて大きいキャリアのポータルサイトに無料で掲載され、そこから確実に一定量の利用登録を見込むことができますので、勝手サイトとして始めることと比べると、圧倒的にスムーズに行うことができます。

特に着メロなどの人気カテゴリでiメニューに登録された場合の集客力はすさまじく、2003年の春頃に会ったある公式コンテンツの運営者は、「携帯サイトはとにかくiモードに登録されることだけ考えればよい。これで少なくとも10万から20万人は利用登録する。」なんてことをいうほどでした。
同時に、auやソフトバンク(当時はvodafone)への対応は後回しでも問題ない、ということも言っていました。
iモードは単にシェアが高いだけでなく、ユーザーのアクティビティも他のキャリアと比べて高い傾向があるので、こういう結論になったのでしょうね。
当時の公式コンテンツ事業者の共通意識として、まず重要なことはiモードの公式コンテンツに登録されること、ということは確実にあったと思います。

iメニュー内での掲載順位が上になればさらに集客力が増しますので、公式コンテンツに登録された後は、事業者はユニークユーザー集めにまい進することになります。(iメニューの掲載順位はサイトの毎月のユニークユーザー数で決まります。auやソフトバンクもドコモほどシンプルではないですが、基本的には同じだったはずです。)
掲載順位が上がれば上がるほど集客力は大きくなり、プロモーション費用が少なくても掲載順位を維持できるという好循環が生まれます。

こうなるともう、文字通りのウハウハ状態です。
ものすごい勢いで300円が積みあがっていきます。

従って、公式コンテンツ事業者のやるべきことは非常にシンプルで、

1.iメニューに登録されるレベルのサイトを作る
2.プロモーションしてユニークユーザーを集める

とまあ、基本的にはこの2つのことだけを考えて実行していけばいいわけです。


もっとも、この理屈が通用したのはせいぜい1、2年前までの話で、これが通用しなくなったからこそ、公式コンテンツ事業者の収益が悪化したのですが、書いてる時間がなくなったしたので、その理由についてはまた次回に。

(第3回の記事をアップしました)
公式コンテンツ事業者の業績低迷の理由を探る2

2006年11月13日

楽天+ドコモの携帯オークションがようやくキタ!

2005年10月にドコモと楽天が提携して共同で携帯オークション事業を行うことを発表してからはや1年、ようやくそのサイトの全貌が見えてきました。

楽天とドコモ、iモード版オークションを11月20日スタート (ケータイWatch)
楽天とドコモ、新オークションサービスを開始──iモード版は20日から(ITmedia)
オークション連動のiモード向けSNS「オクトモ」――NTTドコモ、楽天(ITmedia)
楽天オークション、新サービス開始 -匿名エスクローとSNSを組み込んだ、ドコモ×楽天のネットオークション-(NTTドコモ報道発表資料)

これまでの携帯オークション、特に業界最大手のモバオク(=auオークション)との差別化要素は、

・個人情報を開示しなくても取引が出来る「楽天あんしん取引」
・オークションと連携する携帯SNS「オクトモ」
・楽天市場の出店店舗もオークションに参加

というあたりでしょうか。

携帯オークションでは、auと提携しているモバオクが有料会員70万人で圧倒的に優位な立場を築いていますが、ここにどう後発の楽天・ドコモのオークションが食い込んでくるか。
モバオクが強いといっても、ドコモでは公式サイトではなく、相対的にドコモでの集客が弱いのでポジション的には楽天・ドコモにも十分逆転の可能性あり、というところでしょうか。

携帯オークションの市場も、
KDDI・DeNA連合軍 VS 楽天・ドコモ連合軍 VS ヤフオク・ソフトバンク連合軍
の3つ巴の戦いという様相で混沌としてきました。

このサイトの中身と戦略の分析はおいおいやるとして、ユーザー同士のコミュニケーションがあるサイトをかたくなに公式化拒否してきたドコモが、オークションだけでなくSNSまでやってきたということにかなり驚いています。

ドコモがSNSを公式化するということですから、今後はドコモのiモード公式サイトにSNSを始めとするコミュニケーション系サイトが認められる、ということですね。
実は楽天・ドコモのオークションが始まった、ということ以上にこのことのインパクトが大きいのではないかと思います。

お堅いドコモも時代の流れには逆らえず、ですね。

【 追記 】
楽天・ドコモのオークションサービスは2部構成だったようで。
楽オクのチャリティオークション、魂を揺さぶるエアギターバトル

なお、今回出演したエアギタリストたちのお宝グッズは、11月20日のiモード版のオープンとともに、チャリティオークションに出品される。注目の商品は、ダイノジのおおちがフィンランドで開催された世界大会で5本折った(?)という伝説のエアギターだ。目には見えないギターのため、会場にはギターのハードケースが置かれているようにしか見えないが、5本折ったうちの3本目(?)が認定書とともに出品されるという。
いきなりドコモ公認のオークション詐欺でしょうか……?w

【 さらに追記 】
「楽オク」はドコモのコンテンツ「最終兵器」

2010年に取扱高4000億円、ユーザー1500万人を目指す。
あれ、ケタを見間違えたかな……?
エスクローというのはかなり仕組みが複雑になるので、情報をたくさん表示できない携帯でどうユーザーに理解させるかがポイントですね。
それにしても、「開始後は、iモード公式の「iメニュー」トップページに楽オクへのリンクを表示し、月間2億ページビュー・2100万ユニークユーザーというiメニューのトラフィックを誘導する。」というのはまあなんと露骨な。

2006年11月14日

公式コンテンツ事業者の業績低迷の理由を探る2

前回「公式コンテンツ事業者の業績低迷の理由を探る」からの続きです。

公式コンテンツ事業者の業績が悪化した理由は一つではなく、複数考えられますので、以下箇条書きで整理していきたいと思います。


■市場の拡大以上に競合サイトが増加

携帯コンテンツの市場規模は2003年度に2,133億円だったものが、2005年には3,150億円と着実に増加しています。(モバイルコンテンツの産業構造実態に関する調査結果(総務省)

一方、iモードにおいては、2003年3月末に3,000弱だった公式サイトの数は、2005年3月末には6,000件を超えるまでに増加。2006年3月時点では7,000件を超えています。EZ Webは1,877件が3,889件に増加。こちらも2倍強の伸びです。(ソフトバンクはデータが見当たらず)
この間、携帯コンテンツの市場規模は1.5倍にしか拡大していませんので、市場の拡大速度以上に公式サイト数が増え、確実に競争が厳しくなっていることがわかります。
単純計算すると、市場が1.5倍に伸びる一方、競合サイト数が2倍になっているので、期待できる売上はこれまでの75%となってしまいます。

市場が拡大する一方、公式サイトの数が大きく増え、大容量ゲームやコミックなどの新サービスが登場。携帯端末も多機能・高性能化し、パケット通信料定額制サービスの普及や勝手サイトも増加もおきました。これらにより、選択肢が大きく増え、ユーザーの興味が複数のサイトに分散するようになりました。
 具体的な数字を挙げると、例えば同期間に、iモードでは着メロ系サイト(着メロ+画像DL)のアクセス比率が、39%あったものが12%まで大きく低下しています。(市場は1.5倍にしかなっていないのに!)

 iモード単独のARPUは2190円⇒2140円で、ユーザーが携帯コンテンツ利用にかけている金額に大きな変化はないようなので、少ないパイ、拡大しないパイを多数のプレイヤーが奪い合うという構造になっています。

このように公式サイトの数が市場の拡大速度を超えて大幅に増えたことにより、2、3年前と比べ、競争が格段に熾烈になったということが言えます。
iメニューからの集客だけに頼っていては、公式サイトは生き残れない状況になりました。


■サイト運営コスト・コンテンツ制作コストの増加

携帯端末はどんどん多機能・高性能化し、キャリアが提供するサービスの範囲も拡大しています。
具体的にいうと、下記のようなことが挙げられると思います。

・液晶画面の解像度が向上
・音楽再生機能が高性能化
・ハード自体の処理能力が向上
・Webブラウザの高性能化
・iアプリやBREWなどのJavaアプリケーションの登場
・ハードディスクを搭載した機種の登場
・データの通信速度が向上
・パケット通信料定額サービスが普及

これによってなにが起きるかというと、それはサイト運営コスト・コンテンツ制作コストの増加です。

ハードとソフトが高性能化すれば表現力は増しますが、対応するサイト・コンテンツを作る費用もそれに伴って拡大していきます。

例えば、(具体的な数字は載っていないですが)ドワンゴの中期経営計画の資料(11P)には『「着うた」は「着メロ」と比較して圧倒的に原価が高い」とあります。
着うた市場が拡大したとはいえ、1ユーザーから取れる金額はだいたい同じでよりコストの高いほうにユーザーがシフトしてるわけですから、企業としては辛い限りです。

着メロに限らず、これまでは小さな画像とテキストなど最低限の機能で十分成立したサイトが、フラッシュだ動画だJavaアプリだなどと、どんどん機能と表現力を増していかないと競争から脱落する状態になっています。

集客は難しくなったのに、コストは増加。
業績が悪くならないわけがありません。


■集客コストの増加と公式コンテンツ事業者の集客ノウハウ不足

公式コンテンツ事業者は、これまでキャリアポータル頼りの集客でずっときてましたが、公式サイトが大幅に増えたことにより、キャリアポータルだけで十分な集客ができなくなりました。これは驚異的な集客力を誇っていたiメニューも例外ではありません。
これにより、キャリアポータル内での掲載順位アップのためのユニークユーザー集めのプロモーションも効果が薄くなります。

そのため、公式コンテンツ事業者は広告の利用や各種キャンペーンなど、キャリアポータル以外の集客のための手段を確保する必要が出てきますが、これは当然マーケティング費用を大きく膨らませます。

また、公式コンテンツ事業者はずっとキャリアポータルに頼った集客をしてきたため、広告の効率的な利用方法やキャンペーンのノウハウを十分に持っておらず、費用対効果を悪化させます。


公式コンテンツ事業者の全体的な業績悪化の理由としてはだいたいこんなところでしょうか。

こうやってまとめてみると、どれも意外と普通の理由でした。
集客が難しくなってコストが増えれば、必然的に業績は悪くなっていきますよね。

次回の記事では、公式コンテンツ事業が今後どうなっていくのかを予測してみたいと思います。

(第4回の記事をアップしました)
携帯公式コンテンツ市場の行方はどうなる?

2006年11月17日

携帯公式コンテンツ市場の行方はどうなる?

さて、公式コンテンツ市場分析シリーズの最終回は、今後の公式コンテンツ市場の先行きの予測です。

現在携帯の世界で起きている事象と、それによって引き起こされる公式コンテンツ市場への影響を箇条書きでまとめて行きます。

■携帯勝手サイト検索が普及し、勝手サイトにトラフィックがシフトする

ドコモは2006年10月より、iメニュー上で10を超える携帯検索サイトと連携し、勝手サイト検索機能の提供を開始しました。auはGoogleと提携し、同様に勝手サイト検索を開放しています。ソフトバンクもYahoo!モバイルで勝手サイト検索を提供しています。

 1年前はどのキャリアもキャリアポータルから完全に勝手サイトを閉め出していたんですが、時流の変化とは恐ろしいもので、今や3キャリアそろい踏みで勝手サイト検索を可能にしています。

これにより、ユーザー行動の変化が当然起こります。
一般的なユーザーは、これまでは携帯サイトを探すときはまずキャリアポータルのメニューから探していたと思いますが、それが「検索窓に検索ワードを入れる」という行動に徐々にシフトしていきます。
各キャリアポータルの検索機能では、公式サイトを優先的に扱うような仕組みにしていますが、それでもよりユーザーは勝手サイトにアクセスしやすくなり、結果的にトラフィックが勝手サイトに流出するようになると思われます。

モバイル検索エンジンも日進月歩で進化しており、精度が上がり使いやすくなってきています。同時に、公式サイトを超えるクオリティを持った勝手サイトも急速に増えています。

こういった状況を鑑みると、現在以上に全トラフィックに占める公式サイトへのアクセスの割合が増えるということはないのではないでしょうか。

もっとも、だからといって即座に公式サイト全体の市場規模が縮小するかといえば必ずしもそうはならないのかもしれません。
携帯公式コンテンツの市場自体は2002年から2005年にかけて年400億円強のペースで拡大しており、音楽配信やゲーム、電子書籍・コミック等の成長市場もあるので、2006年もまだ同じくらいのペースで成長すると思われます。
辛いのは着メロと着うたですね。着メロ自体はすでに市場規模が縮小に入ってますし、着うたはドコモがナップスターと組んで毎月定額で音楽取り放題のサービスを始めてしまったので、今後は相当競争が辛くなりそうです。

市場全体としてみると、3年後くらいには市場規模の拡大がストップするんではないかと無責任に予想しておきます。

一方、勝手サイトの市場規模は………、相当伸びるでしょうね。
予測がつかないくらい伸びると思います。


■携帯キャリアが公式コンテンツを締め出す?

上で少し書きましたが、ドコモはナップスターと組んで、定額制の音楽配信サービスを始めました。携帯オークションでは楽天と組んでサービスを近々開始する予定です。
auはもっと前からそういったコンテンツでの提携戦略を進めており、携帯オークションとショッピングモールではDeNA、SNSではGREE、検索エンジンではGoogleとそれぞれ提携して、サービスを提供しています。他社との提携ではないですが、「リスモ」というauオリジナルの音楽配信サービスもあります。
ソフトバンクはもちろんYahoo!モバイルですね。

これまで、各キャリアは自社で携帯コンテンツを提供することはなく、プラットフォームとしての働きに徹してきたのですが、すでにそういった方針は捨てたのか、自社自身で(あるいはジョイントベンチャーで)コンテンツを提供する戦略にシフトしていることが見て取れます。

これも公式サイトにとっては不利な方向に働きます。
携帯オークションやSNSはこれまで公式サイトにはなっていなかったのでまだしも、ですが、音楽配信サービスは着うたや着うたフルがすでに何社もサービスを提供してましたから、キャリアのこういった動きは公式コンテンツ事業者にとっては生死に関わる事態です。

もちろんキャリアは公式サイトを締め出す、なんてことは一言もいってませんが、実際には一番おいしい集客経路をおさえてしまってるわけで、これは締め出し以外の何物でもないような気がします。

今後もキャリア自身のコンテンツは増えこそすれ決して減らないわけで、公式コンテンツ事業者は苦しい立場に追い込まれていくと思われます。


■携帯ナンバーポータビリティ(MNP)で公式サイトの解約が増加する

2006年10月末からついに携帯ナンバーポータビリティ(MNP)が始まりました。このシステムでは電話番号こそそのまま引き継いでキャリアを移動できますが、携帯サイトの登録は引き継ぐことができません。
ユーザーが他のキャリアに移動すれば、そこで契約していた公式サイトは自動的に解約されることになります。

公式サイトはこれまで、登録しっぱなしで実際には利用していない「休眠会員」が多く存在することにより、効率的に高い収益を上げてきましたが、そういうおいしいユーザーが徐々に減っていくことを意味します。
寝た子が起きて売上が下がる、という構図です。
別キャリアでもユーザーがまた同じサイトを登録してくれればいいですが、休眠状態だったユーザーですから、律儀に登録しなおしてくれるケースは少ないはずです。

今後、MNPでどれくらいのユーザーがキャリア移動するかはわかりませんが、その数によっては、公式コンテンツ事業者にとって相当頭の痛い問題になる可能性があると思います。


■公式サイトの集客方法はキャリアポータルからモバイルSEM、アフィリエイト広告へシフトする

公式サイトの集客がキャリアポータルに頼れなくなった、ということは前回ご説明したとおりですが、そうなると公式コンテンツ事業者は他の集客手段を確立せざるを得ないことになります。

そこで有力な集客手段となりうるのが、モバイルSEMとアフィリエイト広告です。

主要3キャリアが揃って勝手サイト検索を導入したことはすでに述べましたが、これにより、ユーザーのモバイルインターネットへの入り口はキャリアポータルのメニューから検索サイトへと徐々に移行していく可能性が高いです。
公式サイトは、検索エンジンからの集客を無視し得ないようになります。

したがって、検索エンジン経由でうまく客を自サイトに誘導するために、キーワード連動広告の購入やSEO対策といったSEMが当然必要になってきます。
モバイル検索エンジンでは、PCと比べ一度に表示できる検索結果件数が少ないので、SEM競争はより熾烈になりそうです。
「着メロ」「着うた」のような検索件数が多く、成果に結びつきやすいキーワードは相当価格が高騰するかもしれませんね。

アフィリエイト広告はより直接的な集客方法です。
アフィリエイトは個人や法人が持つサイトにテキストまたはバナー画像の広告をはってもらい、その広告経由で会員登録や商品購入等のアクションがあった場合に成果報酬を支払うというものです。
公式サイトの場合、「会員登録=利用料課金」というように即座に収益を発生させることが可能であるため、アフィリエイト広告は非常に効果的です。通常の広告と違い、成果が発生しない限りはお金を払う必要がないため、広告が無駄打ちになるリスクも抑えられます。

アフィリエイト広告をはるのはほとんどが勝手サイトですが、今後勝手サイトは質・量ともに大きく向上していくことが確実です。
アフィリエイト広告は、公式サイトが規模を追求していくには、使わざるを得ない集客手段になっていくと思います。

モバイルSEMにしろ、アフィリエイトにしろ、キャリアポータルからの集客と違い「有料」であることには違いないので、公式コンテンツ事業者にとっては、その利用は痛し痒しというところですね。

これらの集客手段を利用することにより、会員数は増え売上も上がるかもしれませんが、同時に販促費も増え収益は圧迫されていきます。
とはいえ、使わなければいち早く競争から脱落も確実であり……。
公式コンテンツ事業は、やはり徐々に苦しくなっていくことが避けられません。


■キャリアが課金の仕組みを広く開放する?

モバイル検索エンジンの普及により、「公式サイト」「勝手サイト」という区分や概念も徐々に希薄化していくのは間違いないと思います。

この区分が希薄化すると、キャリアも課金システムを公式サイトだけに開放しておく意味が薄れますので、一定の基準をクリアしたサイトには公式サイトと同様のキャリア課金の仕組みを提供するようになるかもしれません。
キャリアにとっては、コンテンツ課金の収納代行手数料が増えるというメリットもあります。

これは、ある意味では「公式サイト」の概念の拡大であり、ある意味では「公式サイト」という枠組みの撤廃と言えます。

これは希望的観測ではありますが、ぜひキャリアにやってほしいことです。
公式サイトにとっては、さらにライバルが増えてたまらないことだと思いますが……。


どうも公式コンテンツ事業者にとって不利となることばかりを挙げてしまったような気がするのですが、調べても調べてもそういう情報しか出てこないんですよね……。
パケホーダイや高速通信の普及によるコンテンツの利用拡大等の動きもありますが、これは公式サイトにも勝手サイトにも等しく有利に働きます。

公式サイトがこれまで高い収益を維持できたのは、極論すれば「キャリアポータルからの無料の集客」と「キャリア課金が使える」という2つの優位性があったということだけだったので、この2つの理由のうち片方だけでも崩れてしまうと、一気に状況は苦しくなります。
公式サイトはこれまで既得権益に守られてきた存在だったとも言え、権益を守る何かの条件が崩れれば衰えていくのは必然、といえます。

少なくとも私が調べた範囲では、公式コンテンツ事業者は今後ますます苦しくなると言わざるを得ない、という結論になります。

場所を超えてボーダーレスに情報のやり取りを行うインターネットの世界では、「公式」や「勝手」といった区分け自体がそもそも異常であったとも考えられ、それが徐々に本来のインターネットの姿に近づいてきている、ともいえます。

そうなると、今度はキャリア自身が提供しているコンテンツはどうなんだ、という話になりますが、これは大きな論点だと思います。
その是非については改めて論じてみたいと思います。

【追記】
ちょうどいいタイミングでケータイWatchにYahoo!の井上社長のインタビュー記事が載ってました。
ヤフー井上社長、「携帯コンテンツも広告モデルに移行する」(ケータイWatch)

ヤフーの井上雅博社長は、17日に開催された記者懇談会で、携帯電話事業者はこれまでの携帯電話の公式メニューという枠組みを一旦捨て去る必要があると語った。

「今の課金モデルは一旦捨てるしかない。PC-VANとかNIFTY SERVEとか、ああいうサービスはもう無くなったと認識しているが、携帯もそうなるのではないかと思っている。その中で、改めてこういうものには課金できるだろうというものは出てくると思う」

2007年1月11日

ニワンゴと遊んでみる

ニワンゴってサイトをご存知でしょうか?

着メロサイトで有名なドワンゴの子会社「ニワンゴ」がやっているサービスで、ひろゆきが取締役をやっている会社ということでも有名です。

事業内容は携帯メールによる検索サービスで、m@niwango.jp宛てにキーワードを入れて携帯からメールを送ると、問い合わせた内容やそれに関連する情報をメールで返してくれるというサービスです。
検索だけでなく、天気予報や乗り換え案内、ニュース、小説、ゲームなどのコンテンツも同様の仕組みで提供しています。

くわしくはニワンゴのサイトを見てみてください。


で、この手のサービスを見るとですねー、いろいろ試してみたくなるんですね。

例えば、「あほ」と入れてニワンゴにメールを送ると、こんな感じで帰ってきます。

-------------------------
ミ(゜θ゜)彡
え?
ええ!?
…ミ(〒θ〒)彡
そんなこと言わないでほし
いです。
でも本当はそんなこと思っ
ていないですよね?
もっと好きになってもらえる
ようがんばります!

ご意見は、件名に「ニワン
ゴについて」と書いてこちら
まで
@niwango.co.jp

ではではー
-------------------------

他にもいろいろと特有の反応があります。「ありがとう」とか「こんにちは」とか。

罵倒系は反応が充実してて、「つまんない」「使えない」「氏ね」とか入れると反応します。
ニワンゴは多分、M。

ちなみに、「ひろゆき」でも反応します。

ハズレの場合は普通に検索結果が返ってきます。(これが本来の使い方ですが)

この手の遊びというと、やはり「教えて奈美せんせい」(すでに公開終了している模様。残念。)が有名ですが、ニワンゴにもぜひこのレベルまで到達していただくことを期待したいです。


アホな話はさておき。

昨年のauのGoogleモバイルサーチの採用とiモードの一般サイト検索開放で、モバイルの検索サービスが現在かなり注目を浴びています。

ニワンゴはメールを主体とした検索という独特のモデルで個人的にはかなり注目してるのですが、どうなんでしょうか。うまくいってるんでしょうか。
情報が伝わってこないし、ドワンゴの決算資料にもあまり言及がないので実態がよくわからないのです。

検索サービスとして、個人的な使用感としては以下のようなことを感じました。

・ウェブ検索より検索結果が返ってくるまでの手順が多い。特に連続して検索するときめんどくさい。
・様々なコンテンツ、機能があるが、そのコマンドを覚えるのが大変
・自分がメールで検索するという行動になじんでいない
・検索を繰り返すとメールボックスがあふれてしまう
・返ってくる検索結果が少ない

多分、他のユーザーも私に近いことは感じると思います。
このあたりをうまくクリアしないとなかなか成功するのは難しいかな、という感じです。

とはいえ、モバイル検索市場もYahoo!とGoogleに持っていかれるのは大変しゃくなので、ニワンゴにはうまく事業をドライブしてもらいぜひ成功してもらいたいところです。

というわけで、とりあえず期待age、ということで。

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株式会社マイネット・ジャパン

プロフィール

    橋詰 大造
    (株)マイネット・ジャパン取締役
    (株)ディー・エヌ・エーで携帯ショッピングモール『ポケットビッダーズ』の運営とモバイル関連事業の立ち上げに携わる。
    2006年7月、(株)マイネット・ジャパンに立ち上げメンバーとして参画。

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