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【モバゲータウン解説その6】モバゲータウンの収益源 - まさに現代の錬金術

モバゲータウンのビジネス分析の続きです。

今回はモバゲータウンの収益源について、です。

モバゲータウンには、ユーザーにモバゴールドを消費してもらうための手段としてアバターアイテムがあり、モバゴールドを獲得してもらうための手段として各種のアフィリエイト広告があります。
アバターアイテムを買うにはモバゴールドが必要になり、そのためにモバゴールドを獲得してもらえればもらうほどモバゲータウンの収益となるため、ユーザーにいかにアバターアイテムを買ってもらえるようにするかが、モバゲータウンの収益を左右するということになります。

以下、「ユーザーにモバゴールドを消費してもらう手段」と「ユーザーにモバゴールドを獲得してもらう手段」(≒アフィリエイト広告)に分けてモバゲータウンのビジネスモデルを分析し、収益について説明していきたいと思います。

アフィリエイト広告以外にもモバゲータウンの収益源は存在しますが、それについての解説は次回に譲ります。


【ユーザーにモバゴールドを消費してもらう手段】

モバゲータウンでモバゴールドを消費する場所は、現時点では、アバターアイテム購入に関わる部分に限られています。

モバゲータウンがユーザーにアバターを買ってもらうために用意している仕組みについては、前回の記事を参照してください。

簡単に説明すると、サイトのあらゆるところにアバターを登場させまくり、新しいアイテムとレアアイテムを投入しまくり、ガチャガチャと合成マッシーンで射幸心をあおってユーザーにアバターが欲しくてしょうがなくさせて、モバゴールドを使ってもらう、ということになります。

このようなアバターを核に収益化していくという手法はすでにハンゲームをはじめとしたPCのコミュニティサイトで多く用いられています。
なので、これらのことはモバゲータウンの独創というわけではなく、それほど画期的なことでもありませんが、モバゲータウンは携帯というメディアにうまい具合にそれを導入し、同時に自社が持っているリソースを最大限に活用したというところに成功の理由があります。


【ユーザーにモバゴールドを獲得してもらう手段】

■友達紹介

自分の友達に紹介メールを送って、そのメールに掲載されているアドレス経由でその友達がモバゲータウンに登録すると300Gもらえます。

友達紹介の仕組みにより、ユーザーがユーザーを呼び、ネズミ算式にユーザーが増えていきます。
モバゲータウンが短期間に爆発的にユーザーが増えたのも、この仕組みがあったからです。

これは直接モバゲータウンの収益に結びつくわけではありませんが、収益の源泉となるユーザーの母数を増やすためになくてはならない手段となっています。

PCインターネットをメインに利用されている方は、「ある意味ねずみ講みたいなものじゃないか」と思われるかもしれませんが、携帯サイトの集客方法としては極めてポピュラーな方法で、これがないと携帯の勝手サイトは成り立たないのです。

ただ、モバゴールド欲しさに、自分の友達紹介用URLをよその掲示板にはって回るユーザーがいたりするのが困りもの。
このあたり、モバゲータウンの問題点として稿を改めて書きます。


■スポンサーサイト登録

モバゲータウンに「スポンサーサイト」として掲載されているサイトにユーザー登録すると、20G~400Gくらいもらえます。
スポンサーサイトには公式サイトも勝手サイトもありますが、概して有料である公式サイトに登録したほうがより多くのモバゴールドがもらえるようです。
掲載されているサイトのジャンルは、着メロ・着うたサイト、懸賞・ポイントサイト、占いサイト、ゲームサイトなどです。

無料サイトに登録する分にはユーザーの懐は痛みませんから、ユーザーはガンガン登録すると。
有料サイトでも、どうせ登録するならキャリアの公式ポータルからではなく、モバゲータウンを経由して登録すると。
実際どの程度会員が獲得できるのかはよくわかりませんが、モバゲータウンの売上から計算すると、恐らく1サイトあたり毎月数千から万単位で会員獲得ができているのではないかと思います。
もっとも、ユーザーはモバゴールドが欲しくてサイトに登録するため、解約率も必然的に高くなります。そのため、モバゲータウンには「すぐ解約するとモバゴールドを没収することがあります」という注意書きがあります。
この解約率の高さも考慮した上で、集客効果がどのくらいあるかは気になるところですね。

この広告では、モバゲータウンには成果報酬で1会員獲得あたりいくら、という形で収益が発生します。
モバゲータウンは、2006年の7月から9月の3ヶ月間で約4億円の売上をあげていますが、このスポンサーサイト登録による売上が相当大きいのではないかと思われます。

これだけでもかなりすごい収益になると思いますが、この仕組みの本当の旨味は、原価がほとんど0に近い、ということです。

サイト登録の見返りとしてユーザーに付与するモバゴールドは仮想通貨なので、いくら発行しても運営者のDeNAの懐は痛みません。
モバゴールドで購入するアバターもデザインコスト以外のコストはほとんどかかりません。

さらに、モバゲータウンの運営者であるDeNAは、自社でポケットアフィリエイトという携帯アフィリエイトサービス(ASP)を持っており、広告出稿主を豊富に抱えています。
広告をはっているのはモバゲータウンという自社媒体なので、通常のASPと違いアフィリエイターに成果報酬を支払う必要もなく、広告出稿主からの報酬をまるまるいただけてしまういます。

これがいわゆるポイント還元サイトであれば、ユーザーに現金を還元しなければなりませんし、通常のASPであればアフィリエイターに成果報酬を還元しなければなりません。
どちらも原価率はかなり高くなります。例えば、一般にASPの原価率は70~85%くらいです。
これがモバゲータウンの場合はほぼ0ということになります。

DeNAは、仮想通貨と自社メディアうまいこと使うことによって、モバゲータウンを極めて収益性の高いサービスに仕立て上げています。
ユーザーはガンガン利用するわ、原価は低いわ、でこんなに儲かるサービスも他にないですよね。

DeNAの2007年3月期の中間決算では営業利益率が34.4%になっており、すでにこれはベラボーに高い数字なんですが、モバゲータウンの寄与度が高まるとこれがさらに利益率が高くなる可能性もあります。

鼻血が出そう。


■広告クリック

モバゲータウンのサイト内に表示される広告やメルマガで配信される広告をクリックすると、2G~5Gくらいモバゴールドが手に入ります。
モバゲータウンとしては、おそらく広告出稿主から広告1クリックあたりいくら、という形で収益を得ていると思われます。
「そんなインセンティブ付けていいのか?」と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、さすがにこれは広告主の承諾は取っていると思います。

iモードの公式サイトでは、iメニューの掲載順位が月間のユニークユーザー数で決まるので、広告が直接成果に結びつかなくても、ユーザーに広告をクリックしてサイトにアクセスしてもらうだけでも十分価値がある、というわけです。
iモードの公式サイトでなくても、とにかく大量にアクセスがほしい、という企業は使うかもしれません。

クリック数とクリック率はすさまじい数字が出てるんでしょうね……。


■音楽配信サイト利用
(これも一種のスポンサーサイト登録ですが項を分けています)

モバゲータウンは、Avexの運営する音楽配信サイト・ミュウモと提携しており、ユーザーはモバゲータウン経由でミュウモに会員登録すると300G、さらにミュウモで音楽をダウンロードすると1曲あたり30Gもらえます。

当然、モバゲータウンにはその成果報酬が発生する、と。

現時点では提携しているサイトはミュウモだけですが、さらに提携サイトを増やす余地もあり、音楽配信だけでなく、ゲームやコミックなどのジャンルに展開していくこともできます。
これって、下手するとキャリアポータル並み(あるいはそれ以上?)の集客力を持った仕組みになる可能性がありますね。


■ショッピングサイト利用
(これも一種のスポンサーサイト登録ですが項を分けています)

DeNAと千趣会が共同出資して設立した株式会社モバコレという会社が運営する携帯ショッピングサイト『モバコレ』で買い物すると、購入額10円ごとに1Gもらえます。
これはアバターアイテムの購入ではなく、ホンモノの商品の購入です。

これもモバゲータウンに成果報酬が発生する、と。
モバコレはDeNAの連結子会社ですから、売れればそのままDeNAの連結収益に貢献します。

モバゲータウン経由でどれくらい売れいているのかは現時点ではよくわかりませんが、おいおいDeNAの決算説明資料などで明らかになると思われます。

ちなみに、実際に売れているかはともかく、モバコレへの集客だけは相当な規模になっているはずです。
なにせ、これまでiモードのファッション/コスメカテゴリで長らく掲載順位一位の座を死守してきたゼイヴェルの「girls shopping」を蹴落としてモバコレが1位になっているくらいですから……。
モバコレはできて1年も経たないサイトですし、iモードの公式サイトになったのはさらに最近の話だと思うのですが、あっさりとgirls shoppingを逆転ですか。
私も以前携帯のショッピングサイトの運営に携わっていたので、girls shoppingがどれだけ強いサイトであるかはイヤというほど思いしらされましたが、それを思うと少しさびしい気さえします……。
(参考:ゼイヴェルの「ガールズショッピング」がiモードの公式サイトで10月3位に転落

このショッピングサイトとの連携もまた展開の範囲が大きいビジネスモデルです。
DeNAにはポケットビッダーズという携帯ショッピングモールもありますので、まずこれとモバゲータウンを繋ぐということが考えられます。
これも繋いだらあっさりと、iモードのショッピングモールカテ1位の楽天市場を蹴落としてしまうかもしれませんね……。

なんといいますか、DeNAはモバゲータウン一つで携帯サイトを成功させる方程式を完成させてしまったような……。
半分反則のような気がしないでもないですが。


ブログやSNS等のコミュニティ系のサービスは収益化しづらい、というのはPCインターネットの世界では半ば常識となっています。
収益化の手段が基本的に広告のみに限られており、その広告もユーザー間コミュニケーションがメインであるために効果がイマイチで売れにくい、というのがその大きな理由です。

モバゲータウンもコミュニティ系のサービスではあり、単にゲーム+SNSでサービス展開していてはその呪縛から逃れることはできなかったと思います。
しかし、ここまで説明してきたように、コミュニケーションの中にアバターという仕組みを導入し、さらにサイトの特性と自社の既存リソースを最大限に活用することによって、収益の柱を非常にうまく(うますぎるくらいに)作っています。

携帯サイトのマーケティングやビジネスモデルを考えていくうえで、モバゲータウン以上に参考になるサイトというのはなかなかないと思います。


次回も引き続きモバゲータウンの収益源について、です。
アフィリエイト広告以外の収益源について考えてみたいと思います。




モバゲータウン解説シリーズ目次

1.「モバゲータウン」という恐ろしいサイト
2.モバゲータウンってどんなサイト?
3.オンライン対戦できるJavaアプリゲーム
4.手軽にプレイできるフラッシュゲーム
5.コミュニケーションを活性化するアバター
6.モバゲータウンの収益源 - まさに現代の錬金術
7.アフィリエイト以外の収益源

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mixiの1日当りPVが1億PVを突破したとのこと。先日のDeNAの12月月次数... [詳しくはこちら]

コメント (1)

貴殿のこのブログの内容に感銘を受けました。
また、実に共感致しました。

私自身『モバゲー』なるものに強い違和感を感じておりました。

そういった次第で、貴殿のモバゲーに関する記事のURLを私のつたないブログ『びんぼう削り』の『モバゲーって何?』といった記事の末尾に紹介してしまいました。

事後報告になってしまい、本当に申し訳ありません(_ _)

ご報告させて頂きます(_ _)

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株式会社マイネット・ジャパン

プロフィール

    橋詰 大造
    (株)マイネット・ジャパン取締役
    (株)ディー・エヌ・エーで携帯ショッピングモール『ポケットビッダーズ』の運営とモバイル関連事業の立ち上げに携わる。
    2006年7月、(株)マイネット・ジャパンに立ち上げメンバーとして参画。

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